Shopifyで在庫を「誰が・なぜ」変更したかを残す方法
在庫調整の理由と変更者をShopifyで記録・確認する方法を、標準の調整理由と作成者列・スプレッドシートでの調整台帳・理由を後から付けられるアプリの3つに分けて説明します。理由7種の使い分けと運用ルールの例文つき。
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複数人でストアを運用していると、「この在庫、誰がいつ直したの?」という場面が必ず出てきます。数字が合っていないことより、変更の経緯が分からないことのほうが厄介です。返品の戻し忘れなのか、破損で減らしたのか、外部アプリの同期なのかで、次に取るべき対応が変わるからです。
この記事では、在庫を「誰が・なぜ」変更したのかをShopifyで残す方法を3つ紹介します。手順は2026年8月時点のShopifyヘルプセンターの記載にもとづいています。管理画面のメニュー名はバージョンによって「商品管理」「商品」のように表記が異なる場合があります。
方法1: 標準の「調整理由」と「作成者」列を使う(標準機能)
Shopifyには、在庫を手で調整するときに理由を選ぶ機能があります。まずはこれを使い切るのが出発点です。
- 管理画面の「商品管理」(表示によっては「商品」)→「在庫」を開きます。
- 対象のバリエーションの数量セル(「販売可能」または「手持ち」)をクリックします。
- 「設定」で正しい数量を入力するか、ドロップダウンを「調整」に切り替えて増減する数量を入力します。
- 「理由を追加」をクリックして理由を選び、保存します。
選べる理由は7種類です。
| 理由 | 使う場面 |
|---|---|
| 修正 | 入力ミスなど、数字そのものを正すとき |
| 実地棚卸 | 棚卸の結果に合わせて数を直すとき |
| 入荷 | 仕入れた在庫を受け取ったとき |
| 返品による補充 | 返品された商品を販売可能に戻すとき |
| 損傷 | 破損して販売できなくなったとき |
| 盗難・紛失 | 紛失・盗難で実在庫が減ったとき |
| プロモーション・寄付 | サンプル提供や寄付で出したとき |
理由を選んで保存すると、その理由が調整履歴の「アクティビティ」列に残ります。調整履歴は「商品管理」→対象商品→(バリエーションがある場合はバリエーション)→「在庫」セクションで「在庫を追跡する」が有効なことを確認→「調整履歴を表示」の順に開きます(追跡が無効な商品では履歴を開けません)。あわせて「作成者」列には、その調整を行ったスタッフ・アプリ・販売チャネルが表示されます。日本語ヘルプでは、理由と履歴側の表示が「修正→在庫の修正」「棚卸→手動による在庫数のカウント」「受領→受け取った在庫」「返品の補充→補充されたアイテム」のように対応づけて説明されています。
この標準機能には、運用に効いてくる制約が5つあります。
- 理由は調整するときに選ぶ形です。ヘルプセンターには、保存済みの調整に後から理由を付ける・付け直す手順は用意されていません。
- 選べるのは定型の7区分だけで、自由記述の入力欄は案内されていません。「どの棚の分か」「どの伝票に対応するか」といった経緯は残せません。
- 理由を選び忘れると「手動で調整済み」と表示されます。何が起きたかは分からないままです。
- Shopifyのモバイルアプリでは「理由を追加」が使えません。スマートフォンから直した分には理由が付きません。
- 一括編集(バリエーションを選んで「一括編集を開く」)での変更は、在庫移動の監査証跡が作られません。まとめて直したいときほど、記録が薄くなります。
また、「調整」で直した場合、理由を選んでも調整履歴のアクティビティ欄には移動元から移動先への移動が表示されます。理由を履歴にはっきり残したいときは「設定」を使うほうが確実です。そして、注文・返品・外部の在庫連携アプリによる変動には、そもそもこちらから理由を付けられません。
なお、商品ページの調整履歴で見られるのは過去180日分までです。それ以前は「ストア分析」→「レポート」→在庫カテゴリーの「在庫調整の変更」レポート側で確認します(ヘルプによっては「在庫の調整変更レポート」とも表記されます)。
方法2: 調整台帳をスプレッドシートで持つ
標準機能で残せない「自由記述の経緯」を補うシンプルな方法が、調整台帳のスプレッドシートです。在庫を手で直した人が、直した直後に1行足す運用にします。
列は次の9つで足ります。左から順に、A列「日付」・B列「担当者」・C列「SKU」・D列「ロケーション」・E列「変更前」・F列「変更後」・G列「差分」・H列「理由」・I列「メモ」です。1行目に見出しを置き、2行目から記録していきます。
日付,担当者,SKU,ロケーション,変更前,変更後,差分,理由,メモ
2026/08/18,田中,TOTE-BLK,東京倉庫,11,10,-1,損傷,検品で汚れを確認して廃棄
2026/08/18,佐藤,MUG-WHT,大阪倉庫,20,28,8,入荷,定期入荷分(伝票 No.4412)
差分(G列)は手で入れずに、次の数式にしておくと入力ミスが減ります。
=F2-E2
運用ルールは、短く書いて共有できる長さにしておくのがコツです。次の文面はそのままコピーして使えます。
【在庫を手で直したときのルール】
1. Shopifyの在庫を直したら、調整台帳に必ず1行追加する。
2. Shopify側では「設定」で直し、「理由を追加」から理由を選ぶ。
3. 台帳のメモ欄には、数字だけでは分からない経緯を書く(例: どの棚・どの伝票・誰の指示か)。
4. まとめて直す場合も、SKU単位で1行ずつ記録する。
5. 月末に台帳とShopifyの調整履歴を突き合わせ、記入漏れがないか確認する。
台帳の利点は、ツールを増やさずに今日から始められることと、自由記述で経緯を残せることです。弱点も明確で、書き忘れると記録が残らないこと、そしてShopify側の変動と二重管理になることです。特に、外部アプリや注文による自動の変動は台帳に載らないため、「台帳に無い=変更していない」とは言えません。人数が増えるほど、この抜けは大きくなります。
方法3: 変動を自動で記録し、理由を後から付けられるアプリを使う
「手作業の書き忘れに依存したくない」「あとから理由を付けたい」という要件は、記録の側を自動化すると扱いやすくなります。ここがアプリの出番です。
私たちが開発している「在庫監査ログ」は、インストール後にShopifyから通知された在庫数の変更を、商品・バリエーション・SKU・ロケーション・変動前後の数量・差分・発生時刻とともに自動で保存するアプリです。標準機能との違いは3点あります。
- 理由を後から付けられます。棚卸・入荷・返品・破損や廃棄・訂正・移動・その他の理由区分と、500文字までのメモを、記録された変動に対して後から追加・編集できます。「9/3の-1は検品で割れた分」といった経緯を、あとから思い出して残せます。
- 保存した記録が期限なしで残ります。180日を過ぎた分も、商品名・SKU・期間・理由・ロケーションで絞り込んで1つの一覧から確認できます(閲覧できる期間はFreeが直近30日、Proが全期間です)。
- 記録は追記専用です。保存した数量・差分・発生時刻を後から書き換える機能はなく、編集できるのは理由とメモだけです。監査の証跡として使うための制約です。
Proプラン($12.99/月)では、絞り込んだ条件のままCSV(UTF-8 BOM付き・1回あたり最大10,000行)に出力できます。使用する権限は在庫・商品・ロケーション・ストア言語の読み取りのみで、顧客や注文のデータにはアクセスしません。
ただし、次の制約があります。記録できるのはインストール後にShopifyから通知された変更で、インストール前の履歴をさかのぼって取得することはできません。記録はShopifyからの通知にもとづくため、通知が届かなかった変動は記録に残りません。また、変更した人の名前(誰が)を特定して表示する機能は、現時点では提供していません。「誰が」を確認したい場合は、方法1の調整履歴の「作成者」列を使ってください。Shopify App Storeで公開しており、Freeプランから利用できます。
まとめ
- まずは方法1で、手で直すときに「〜に設定」+「理由を追加」を徹底します。理由を選んだ調整と、選ばなかった調整では、後から見たときの情報量がまったく違います。
- 経緯を文章で残したい、けれどツールは増やしたくないなら、方法2の調整台帳から始めます。月末に調整履歴と突き合わせる運用まで含めて決めておくと、抜けに気づけます。
- 書き忘れや180日の壁が問題になってきたら、方法3のように変動の自動記録と理由の後付けができる仕組みを検討してください。180日を超える範囲を一覧するのはProプラン($12.99/月)の機能で、無料プランで閲覧できるのは直近30日分です。
差異が出たときの追いかけ方は棚卸で在庫が合わないときに原因を突き止める手順、履歴を見る場所そのものはShopifyで在庫の変更履歴を確認する3つの方法で説明しています。